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碧濤のひとりごと

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重なった不思議

  前々回にUPしたY君の話には続きがある。私が声を掛けた後、彼はそのまま市街に出て、デパ地下で偶然にも姉に出会い、いったん親元に帰ることになった。私たちに会わなければ、時間の歯車は少しずれて姉と会うこともなかったろうと思うと不思議である。クリスマスに再び泊まりがけで遊びに来た翌日、祖父が亡くなったという連絡が入った。彼はすぐに親元に戻った。次の日のおくやみ欄には、死亡したのは9日とある。9日といえばY君が、私たちに会い、姉に出会った日だ。報道までにずいぶん日が経っていることが気になった。年が明けて遊びに来たY君の話によると、10年前の祖母の葬儀に際し親子間の諍いがあり、その後は「偏屈だった祖父と父たち兄弟の行き来はなくなっていた」ということだった。たまった新聞を不審に思った配達員の届けで警察が祖父の死亡を確認したのは20日、事件性の調査などもあって葬儀が遅れた。ずれ込んだ年末の葬儀に集まった親族から、Y君は、9日にあまりの偶然の重なった不思議について「おじいさんが、お前に元気を出してほしくて、引き合わせたのだ」との励ましを受けたそうだ。彼の心にどんな変化が起こっているのかは分からない。しかし、単なる偶然と思えない不思議を、彼の成長にも、親族の融和にも生かしてもらいたいと思っている。

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