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碧濤のひとりごと

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マイナンバーカード

 8年ほど前、U町に住民票を移した。一年後に札幌に戻ったとき世帯合併の手続きを失念し、一つ屋根の下で妻とは別世帯になってしまった。日常生活の不便はないし、手続きに役所に出向くのも面倒でそのままにしていた。妻に収入がないから保険料が若干安く済んだ。罪悪感も少しあって、医療費控除の確定申告時に、区役所にも足を伸ばし一つ世帯に戻すことにした。
 比較的空いているはずの平日の午後のはずだったが、マイナンバーカード(略称:マイナカード)申請の窓口が混み合っていた。この3月からカードが健康保険証としても使えるようになったからだろうか。2016年の「マイナンバー制度」の導入から5年、20年1月に15%だったカード交付率は、昨年度の一人最大5000円還元するという、「マイナポイント」事業の効果でようやく25%に達した。しかし、先着4000万人を見込んだマイナポイント申込者はいまのところ1300万人、この3月の締め切りを9月に延ばすようだが、令和4年度末で100%を目指すカード交付率はどこまで伸びるのだろうか。
 マイナカードのために、これまで8千億円が投じられているが、そんなに投じなくても、国会議員、高級官僚が全員マイナカードを持ったと公表できていれば、一挙にカード普及率は高まったであろう。国民の血税の無駄遣いに思えるのは低級国民の僻みであろうか。
 ワクチン接種などの医療・医薬記録とマイナンバーをひも付けて管理するシステムをめざすのは省力・時短の面で十分理解できる。韓国では、朴正熙政権時代、北朝鮮のスパイを割り出す必要があると国民統制を強めたが、電子化の結果、コロナ給付金は2週間で97%支給済みという実績に結びついた。
 「マイナンバー」は現在のところ税、社会保障、災害対策でしか使われていないというが、運転免許証の一体化、スマホへのマイナカード機能搭載が予定されている。納税記録、住所、電話番号、金融機関口座、クレジットカード情報など、生活の様々な場面と紐付けされれば、「管理体制の信頼構築」は重要な政策課題になろう。
 マイナカードを取得していない人の約35%は個人情報の保守に疑念を持っているという。一旦カードを持ってしまえば紐付け情報の拡大に抵抗は難しい。隠す情報もないが私もその一人である。政治家や高級官僚に対する信頼が揺らぐいま、マイナカードの導入に理解を求められても「ハイそうですか」とはいかない所以である。

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