2011/04/26 Category : エッセイ 自治の力 「虎は死して皮を残し人は死して名を残す」と親の世代からはよく聞かされたが、「死して汚名を残す」政治家、官僚、経済人の原発マフィアに、学者や報道陣までが組まれてはたまらない。事故直後の最悪シナリオを知る立場にいた彼らの親族が、もし福島原発周辺に住んでいたのなら、どこに、いつ避難したのだろうかと、下衆な憶測が脳裏をよぎる。 統一地方選挙で、いくつかの公開討論に立ち会ったが、これからの自治体の首長や議員に求められるのは、巷に溢れるデータの意味するところを読み解く力ではないか、との思いがますます強くなった。 為政者が意図的に流さない情報も、市民はインターネット経由で手に入れることができる時代だ。偽情報も含む多くの情報から自分なりに正しい現実を読み取る力が要求されよう。 福島原発事故の政府対応を見ていると、「自治体の自治は自治体が決める」という当たり前のことを、強く意識させられる。 将来のガン患者の発生、未来を見通せない避難された方々の苦悩、放射能まみれの現場最前線に働く人々の悲壮感を思うと、国の中でも原子力安全委員会の責任は極めて大きい。22日の参院予算委員会で、「(原発設計の)想定について世界的に見直しがなされなければならない。原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と原子力安全委員長は述べた。昔の日本人ならば、「一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル」で切腹するか、問答無用で暗殺されかねない事件であろう。専門家に何度も指摘を受けながら、原発施設の設計基準の不備を放置してきた当事者としては、余りに軽い反省の弁ではないのか。 そんな中に、綺麗な心を持った芸能人もいたんだな、と思わせてくれたのは、キャンディーズのスーチャンこと、田中好子さんの旅立ちだった。 告別式で流された、死を目前にした肉声のメッセージは、東日本大震災犠牲者への哀悼の気持ちや、死してなお社会に役立ちたいという思いに溢れたものだった。天使のような彼女の短いメッセージは、被災者の多くの心に響き、そして癒したに違いない。キャンディーズの「やさしい悪魔」の唄に心を許しても、「やましい」悪魔の手に未来を委ねてはならない。自治の力が試されている。 [2回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword