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碧濤のひとりごと

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情報公開と自主避難

 11日、枝野官房長官は、年間20ミリシーベルトを超えると予想される地域を新たに、「計画的避難区域」とし、これまで安全と思われた30キロ圏外の一部自治体をこれに含めた。
 福島第一原発から30㌔圏内で、「屋内退避指示」に指定されていた自治体の多くは「緊急時避難準備区域」に変更された。
 事故直後に原発施設から同心円状に危険区域を指定するのはやむを得ないと理解できたが、その後1週間、2週間と経つうちに、風向きや、放射性物質の飛散情報提供が無いことを不思議に思った人は多いだろう。
 台風予報も、あくまで予報であり、「備えたが来なかったので損害を補償せよ」と言われることはない。備えるかどうかは「自主」の判断である。
 危険区域の指定は分かるし、避難指示も分かるが、国民が「自主」判断できる材料をほしがるのは自然の流れだ。
 もともと20ミリシーベルトとは、職業的に被曝量が厳格に管理された放射線に携わる人を対象にした値という。一般人は1ミリシーベルトという基準だったが、今回の事故で準用するという。この一月間ですでに累積20ミリシーベルトを超えた地域が20㌔圏外の浪江町の数カ所で確認された。100ミリシーベルトになると千人のうち5人にガンが発生するといわれる量である。
 どんな意図か、誰の指示によるのか、3/18付けで気象学会理事長から学会会員宛に「・・・当学会の気象学・大気科学の関係者が不確実性を伴う情報を提供、あるいは不用意に一般に伝わりかねない手段で交換することは、徒に国の防災対策に関する情報等を混乱させることになりかねません・・・」の文書が流れていた。気象庁からの風向き情報も出されず、風による飛散情報は、海外からの情報によって知るほどであった。
 菅首相が昨日12日の記者会見で「・・・原子力事故が起きて知ったことで、何かそういう事実関係で情報を表に出さないようにとか、隠すようにと言ったことは何一つありません・・・」と言った。それが本当ならば、「由らしむべし、知らしむべからず」は誰の指示によるのか。
 まちづくりに熱心なものにとって、情報公開とは、出された情報の意味を知らせることも含むが、基礎自治体のリーダー達には、出された情報の意味を読み解く能力も必要とされる。
 「緊急時避難準備区域」からの脱出について、今後どう判断するのか、年15ミリシーベルトなら安全か?それが仮に2年続く時はどう考えるか。住民に説明するのは、国ばかりではあるまい。何年も被曝するとなれば、ふるさとを離れる決意も出てくるし、その準備もあろう。それは決して不安を煽るということではない。
 「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」と引き延ばされるより、「累積線量は○○シーベルトです。統計的には千人に1人の割合でガンが増えるくらいの危険性です。」と情報提供される方が、私なら自主避難を「自主的」に決めることができ、ずっと安心できる。国が言わないのであれば基礎自治体が言うしかあるまい。補償云々はそれとは別個に考えるしかない。まずは幼児や妊婦など弱者の生命を護ることである。

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