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碧濤のひとりごと

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看板だけ掲げるのは無責任か?

 7月14日付・読売社説である。
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「脱原発宣言 看板だけ掲げるのは無責任だ」
 深刻な電力不足が予想される中で、脱原子力発電の“看板”だけを掲げるのは無責任だ。菅首相は13日の記者会見で、「原発に依存しない社会を目指すべきだ。計画的、段階的に依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」と述べた。日本のエネルギー政策を大転換する方針を示したものだが、原発をどのように減らしていくのか、肝心の具体策は示さなかった。原子力発電を補う代替エネルギーの確保策が、不透明なままだったことも問題である。首相は、太陽光や風力などの自然エネルギーを「ポスト原発」の有力候補と考えているようだ。自然エネルギーの普及は促進すべきだが、現時点では総電力の1%にとどまり、発電量は天候などで変動する。コストも高い。量と価格の両面で難題を抱えており、近い将来、原発に代わる基幹電力の役割を担えるほど見通しは甘くない。火力発電で急場をしのげても、燃料費がかさんで電力料金が上がれば、産業の競争力低下を招く。工場の海外移転による空洞化も加速して、日本経済は窮地に立たされかねない。安全確保を徹底しつつ、原発利用を続けることが、経済の衰退を防ぐためには欠かせない。首相はまた、当面の電力不足について、節電などで「この夏と冬に必要な電力供給は可能だ」との見通しを述べたが、その根拠についての言及はなかった。企業の自家発電など「埋蔵電力」も活用できると見ているようだが、どの程度の供給余力があるのか、手探りの状態にある。代替電力の展望もないまま原発からの脱却ばかりを強調するのは、あまりにも非現実的だ。原発のストレステスト(耐性検査)を巡る閣内不一致によって、九州電力玄海原発など、定期検査で停止している原発の再稼働に見通しが立たなくなっている。首相が、ストレステストの判断が妥当なら「再稼働を認めることは十分にある」と述べたのは、当然のことである。ただし、脱原発を掲げる政府が運転再開を求めても、地元自治体は戸惑うだろう。首相には、福島第一原発の事故に伴う国民の不安に乗じ、脱原発を唱えることで、政権延命を図る思惑もあったのではないか。場当たり的言動が、多くの混乱を引き起こしている。首相は、そのことを自覚すべきだ。
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「脱原発は、産業競争力が低下して、経済が衰退するから困る」と言いたいらしい。「火力発電で急場をしのげても、燃料費がかさんで・・・」の「急場」とはたかだか電力需要期の一時のことではないのか。気温30度を超える今さえ、54基の原発中18基で乗り切っているではないか。未来に悔恨を残しかねないこれ以上の原発新設は不要である。今後廃炉となる原発に見合うように、自然エネルギーや低リスクエネルギーに転換していけばいいのだと信じる。
 「近い将来、原発に代わる基幹電力の役割を担えるほど見通しは甘くない」ともあるが、「近い将来」とはいつのことか。人口は既に減少期に入り、10年後には500万人、25年後には2千万人も減る。経済活動を右肩上がりで考える時代は終わりに近い。その上、高齢者割合が格段に増え消費性向も変わるから、将来の電力需要を過大に見る必要性はない。
 近い将来をいうなら「原因を特定できない」と国が責任逃れしかねないガン患者が増えていくことこそ問題だ。未曾有の事故を起こした当事国が原発依存を続けることは、国民が原発推進派に屈したことに他ならない。
 電力不安を煽るマスコミを尻目に、多くの企業が脱原発に声を荒げるでもなく、社内体制を見直し、今夏の節電に協力していて倫理観は正常だ。自らの爆弾で戦争並みの被害をもたらした原発事故。日本再建を、原発一家の再装備計画に託すのではなく、クリーンな事故処理への具体策に希望をつなぎたいものだ。あと1ヶ月の夏場の終焉が待たれる。



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