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碧濤のひとりごと

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基準緩和

 放射能障害にはこの値までは大丈夫という閾(しきい)値がないという。つまり、低レベルの放射能で症状が出る人もいるということだ。このため、膨大な調査を下に、世界共通の基準として、ICRP(国際放射線防護委員会)では内部+外部被曝の合計で、年間1ms(ミリシーベルト)以内とするよう勧告している。この値までは妊婦や幼児も<まずは安全と考えられる>という国際基準だ。
 今回の汚染牛肉の拡大に合わせたように、内閣府の食品安全委員会作業グループは、ICRPの基準値を維持できないとして、暫定基準の方向性を示した。新基準は年間では20ms以内を目安にし、125msから統計的に有意差が出始めているので、生涯被ばく量として、100msを定めるという。 生涯100msなら、100才まで生きる人はごくまれだから、国民のほとんどが法律の上限1msを超えることになる。
 初期対応の誤りと対策の遅れを、急いで変えた基準値で、つじつま合わせするなど許されるものではないが、基準を今変える理由は何か外にあるのではないのか、と勘ぐりたくなる。
 年間20msは1年で、1000人に一人発がん者を増加させるといわれる値だ。同じ被曝値が3年続けばリスクは3人に増える。統計的な有意値とは一般には信頼度95%になる値をいうから、ほとんどの人が「癌が増えているね」という感覚を許容値にするということだろうと思う。
 もし、風向き具合で、東京にも福島と同程度の汚染物質が降り注でいたとしたら、どういう措置をしたか。現役官僚も妻子のことを考え、まずは除染対策であったろう。基準を緩めて汚染食材を食わそうとはしないはずだ。作業グループに提出する事務局素案自体が、内部被曝や累積被曝も考慮して今回とは大違いだったのではないか。
 その原点に戻って考え直してもらわねばならない。過去、営々と続いた官僚体制に甘んじる者は今回の対応次第では、断罪されるかもしれないと考えた方がよい。警鐘を鳴らす良識的な学識者の意見に素直に耳を傾ける時が来ているのではあるまいか。

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