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碧濤のひとりごと

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夕張の医療に思う

 医療法人財団「夕張希望の杜」が運営する公設民営の夕張医療センター(市立夕張診療所)。今年4月から常勤医は村上理事長1人のみとなり、3月退職した3人の常勤医師の代わりを非常勤で補っている。
 今年5月中旬に、50歳代男性が自殺を図り、CPA(心肺停止)状態での受け入れを救急隊から要請されたが、村上医師は断った。彼は、ブログの中で次のように述べている。(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3660)
 「今回、救急搬送の受け入れ要請があった患者さんは心肺停止状態(CPA)でした。患者さんがCPAとなった場合、一刻も早く病院に搬送するというのは正解ですが、設備もスタッフも少ない診療所で対応するのは無理な話です・・・」
 実は、昨年9月末にも、自殺を図ったCPAの中学生の受け入れを断っている。この時は、「縊頸(いっけい=くびつり)」と話す救急隊員の言葉を「胃けいれん」と聞き違えた事務当直が看護婦に伝え、その間違えたままの情報を当直だった村上医師に伝えた。村上医師は、北海道自治体学会主催の討論会で次のようなことを述べながら謝罪し、医療機関として役割に診療所も重ねている。
 「受け入れを断ったのは情報伝達のミスだった。正しく情報が伝われば対応した。万一の場合は、専門医のいる札幌などに行くのではなく、親が心肺蘇生措置をして、救急隊の救命救急士が挿管と除細動と心臓マッサージをし、一番近くの医療機関につなぐのが生存率を一番上げる方法だ・・・」
 今回の受け入れ拒否発言は、常勤一人体制では不可能になった」の意味と理解したい。しかし、受け入れ拒否の報道をめぐる村上医師の飛び跳ねたブログ発言等の影響から、市と村上医師の文書応答が続き、話し合いが持たれないまま、事態はこじれにこじれた。
「・・・2007年4月に公設民営方式の指定管理者として夕張医療センターの運営を開始したのです。指定管理の条件は、夕張市からの資金援助を一切受けないこと、そして19床の有床診療所と40床の老人保健施設を運営することでした。夕張医療センターの本来の仕事は、在宅支援診療所として、120軒の在宅患者さんや40床の老人保健施設、かかりつけの患者さん、委託されている110床の特別養護老人ホームとグループホームを、24時間体制で電話対応も含めてケアすることです。救急医療や在宅医療等は、センターの本来の仕事には全く入っていないのです・・・」 (同上ブログ)
 ほかになり手のなかった指定管理者に手を挙げたのは「夕張希望の杜」だけだったという。彼の夕張での功績は大きいはずだ。彼の目指しているのは、心肺蘇生等の講習を企画したり、検診で保健や健康づくりに市民関心を高めるなどの医療まちづくりなのだろう。市との対立を煽ったり、村上スキームを崩壊させようとする者の存在疑念が本当にあるのだとすれば、医療と行政をつなぐ「市民力」が問われているといえよう。

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