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碧濤のひとりごと

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加齢臭

 父の匂いが加齢臭として嫌われるのは、匂いを通じた記憶が消されるようで悲しい、との新聞投稿記事があった。
 ニオイは個性的なものであるが、最近は、ニオイばかりか、個性的なものが排除され薄められ、倫理観や使命感までが曖昧化されていく気がしてならない。
 一般常識人の批判が、曖昧化された組織の変化を促すには大変なエネルギーを要する時代にもなっている。食品偽装も、耐震偽装も、官僚汚職も、報道機関インサイダー取引も、あってはならないその一線を踏み越えさせたものは、曖昧な倫理観、使命感にあったと思う。
 本物は本来個性的だ。個性を嫌うのは人それぞれだが、排除してはならないものだ。それが社会の偏りを制御してくれるからであり、そういう人間関係の中にこそ、人生の味わいも出てくると思える。
 加齢臭に要らぬ心配をするなと、応援をもらったような気持ちになった投稿記事であった。

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