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碧濤のひとりごと

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中国漁船衝突事件

 9月7日に起きた中国漁船衝突事件のビデオが11月4日インターネットに流れて大騒ぎである。海上保安庁は国家公務員法の守秘義務違反で刑事告発するらしい。
 情報提供者が誰かよりも、内部情報の管理体制がどうなっているかよりも、「なぜ、インターネットに流したのか」が気になった。そして、情報提供は、日常的な領海警備の危険性を生身に経験するなど熟知していて、中国漁船のエスカレートする行動にどう対処すべきかの決断を下せない上司や体制に業を煮やした結果からの行動ではないのか、と想像した。
 衝突ビデオは11月1日に30人ほどの国会議員に公開された。明らかに中国側から、故意にぶつかってきているビデオであると議員は公言していた。国民に公開すべきと主張する議員もいた。しかし、政府は、「国民の反中感情をあおることになる」として、「公開してはいけない」との方針をとった。
 たしかに反中感情は高まるだろうが、中国国内での反日行動のようになるだろうか?。現に、衝突映像が流れ4日経ったが、「情報の流れたこと」が大騒ぎになったのであって、反中行動があおられたりしてはいない。日本人の理性を政府関係者は見くびっているのではないのか。
 領海侵犯という事実を言うだけでは、国民に説明したことにならない。現場に死者が出るような事件にエスカレートすれば、更に悲劇的な日中関係につながりかねないのだから、マスコミも現場実態や流れ出た背景の報道にもっと力を入れるべきだと思う。
 領海を監視する現場の生の声が国民に聞こえないまま、つまり、「実態」が国民に知らされないまま、関係者が、「穏便な対応」を模索し、「抗議」以外の対応が出せず、中国の行動がエスカレートしていくことが怖い。
 国民へどう周知するかの対応を蔑ろにしたまま、管理体制だけを強化することは更に危険である。御身大切と権勢におもねる者たちを増長させ、真実がますます国民から遠くなるからだ。
 政府が対応を決め、国民を先導しなくとも、非暴力の抗議行動を日本人はとるであろう。衝突ビデオを見せて「あなたはこの事実に、日本人としてどう対応をしますか」と聞いてみれば、多くの国民は多少の不便は覚悟の上で、「中国製品は買わない」などと言うのではないのか。中国からのリアクションを恐れる団体に迎合する必要もない。中国への対応は国民が決める。政権交代したはずの政党にも国民の声は届いていないことを露呈した事件となった。

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