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碧濤のひとりごと

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ダイジョウブです

 ワカモノ言葉なのかな、と思った。
 23歳になる次男の友人が、盆の里帰りの途上に我が家に一泊した。朝飯時に、妻が「お代わりは?」と聞いた。「ダイジョウブです」と彼は答えた。「あら、お代わりしなくてダイジョウブなの」と妻は納得している。
 ダイジョウブとはどういう意味だ?「食べられるけれど、食べなくても我慢します」の意味なのか、「もう一度すすめてくれるならお代わりしたい」と言う意味なのか。彼のことをあまり知っているわけでもないし、目を見て話さない性格も気になって、聞くのは止めた。
 「今のワカモノは、はっきり言わないのが特徴。彼らなりに気遣っているの。『もう結構です』では相手に失礼だと思っているからよ」と妻は言った。それなら、「もうお腹いっぱいいただきました」でいいではないか、本当はもっと食べたかったのではないか。妻の説明に今ひとつ納得できずにいたら、数日後、別の友人が泊まりに来て、同じく、「ダイジョウブです」とお代わりを断った。
 友人が帰ったあとに、妻が笑いながら、「お父さんが意味を知りたがっているよ」と次男に聞いた。「『お気遣いなく』という程度の意味で、お父さんは深読みし過ぎだ」とたしなめられた。
 ダイジョウブ=婉曲に断る言葉。いずれ辞書にそう記されるに違いないと思いながら、若者の価値観から外れた存在となった事実に一抹の寂しさを感じるのだった。

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