2010/05/31 Category : エッセイ コジェネ的発想 発電の際に出る廃熱を給湯などに利用するコジェネシステム。最近は燃料電池によるコジェネが一般家庭でも取り入れられるようになってきた。廃熱からつくられた温水も、さらに低温になるまでの段階利用として、暖房→浴槽→洗濯→融雪などとして徹底的なエネルギーの活用が考えられる。 地方交付税の急激な落ち込みで悲鳴を上げる自治体にもコジェネ的発想が求められている気がする。 例えば、観光振興。自治体の担当職員は、ホテルや土産店の関係者を集め、講師を招いて「ホスピタリティ」の講演会を企画する。担当としては少ない予算で成し遂げられたら満足だろうが、せっかく集まる機会だから、関係者の懇談会や、名刺交換会を併設すれば思わぬ展開があるかも知れない。小さな視点だがコジェネ的発想としたい。 W市は水族館の老朽化が課題だったが改修費はない。施設から20km離れた漁港にアザラシが住みつき、観光客がやってくるようになった。水族館から漁港にいたる沿道は国立公園と重なるから、漁港を含めて、「国立公園を持つ水族館」と言うだけで、金を掛けずとも施設の存在価値はぐんと増すはずだ。野鳥や高山植物まで見られる水族館といえば何だか行きたくなるではないか。大学と連携して地元の歴史文化等にも通じたガイドを育成すれば、観光リピーターの増加にもつながるし、新たな就業先を生み出すことも可能となる。学生獲得に悩む地元大学にとっても好都合だ。 河川堤防に植林したが、木が成長して向こう岸が見えないほどになった。覗きの異常者が逃げ込むので伐採してくれと管理事務所に申し入れがあった。もともと地元に望まれて植えたのだから、伐木する費用はないに等しい。どの木を切るか地元に選ばせ、自然保護団体との調整は町内会に任せた。切った木の跡地には住民と地元自治体や管理事務所の職員で苗木を植えることにした。切った木の受入は自治体の処分場が引き受けた。それぞれが役割分担したので、管理事務所は切り手間と処分場への運搬費だけで済んだ。 このような、課題解決手法は、広域自治体と基礎自治体と住民のつながりを取り戻す効果もある。福祉のまちづくり、防災のまちづくりなど、住民参加の中で様々な応用が考えられよう。協働の過程で節約されていく費用はバカにはならないはずだ。かつて公共事業の乗数効果が言われたが、今後はコジェネ的発想の乗数効果に期待したい。地域再生の鍵は、人のつながりを生み出す協働のコジェネ的発想にありそうな気がしている。 [1回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword