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碧濤のひとりごと

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イトグチ

 官僚の掌中にあるように見える政治家が、かくも多い時代となった背景は何なのだろう。現場実態を知らない政治家が多いのもその一因ではないか、と思う。
 複雑化する都市型社会の施策には縦型思考は通じない。たとえば、インフラ整備。かつて、モノが絶対的に不足していた時代は整備に伴う負の面は無視されても社会的な反発は少なかった。必要性も経済性も単純に縦型思考で説明できたからだ。
 高度成長期、そこに、公害問題が顕在化し、都市間格差の問題が起き、核家族化や少子高齢化などの現象が進んでくるに従い、施策相互の調整機能や調整手法に力点が移り、相対的に官僚の力が増したと思える。
 今や、一政治家が現状打開の方策を勉強したところで、実現するためのハードルを次々と官僚から突きつけられると、手も足も出ず、結局は官僚の言いなりにならざるを得ない、という事態まで現状が追い詰められているのではないか。
 本来ならば官僚の<御進言>には、逆に政治家が現場実態を突きつけ政策を誘導していくのが、政治家の仕事であろう。
 国民が真実を隠匿され国に欺かれているように、政治家も官僚の手玉に取られていると思われてならない。
 国は中央政府として、安全保障、外交、金融などのマクロ政策に重点を移し、現場に密着した教育や福祉、子育てなどを地方政府として自治体が機能分担すれば、国会議員は国策に、地方議員は自治問題に、より深く向き合えるはずだ。
 先日、派遣職員として働く義妹の娘に久しぶりに会った。成長した23歳の彼女の気配りや話しぶり、考え方などを聞いていると、こんな若者が、なぜ非正規雇用職場でしか働けないのか不思議だった。一般市民がつましい生活さえもできないのは、元を辿れば、結局は政策の決定過程に問題があるからだろう。夢ある未来へのイトグチはどこにあるのだろうか。まずは官邸前に毎週金曜日集まりだした脱原発の輪が、全国各地に飛び火し、国を動かす原動力になることからと、心のどこかで期待している。

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