2012/12/15 Category : エッセイ のど元過ぎれば 3・11大震災後一番恐れたのは、電源喪失により福島第一原発4号機の貯蔵プールが沸騰蒸発し、使用済み核燃料から大量の放射線、放射能物質が空中に放出されることだった。4号機は当時定期点検中で、原子炉圧力容器内のシュラウドと呼ばれる構造物の取り換え工事を完了しているはずだった。しかし工具関連部品の寸法違いから工程に狂いが生じ、工事完了時に抜き取るはずの大量の水が残っていた。このことが最悪の事態に陥ることを防いだ。http://digital.asahi.com/articles/TKY201203070856.html 大地震は、DSピット、貯蔵プールと仕切りにずれを生じさせ、隙間から大量の水が貯蔵プールに流れ込んだ。3月20日の放水まで、燃料の熱崩壊を防いだこの水がなければ、放水の前にプールは干上がって大惨事を引き起こしていた可能性があったという。 放射能物質の拡散は、首都圏に及び、日本の中枢機能は麻痺し、半径300km圏内の3千万人の人々は住む場所を追われていたかもしれない。東京電力も官邸もそれを知っていたようだが、私たちは「直ちに被害はない」と思わされた。<無用の混乱>を生じさせないためという名目での<情報操作>であろう。 現実に上記の大惨事が起こっていたとしたら、どの政党にとっても「原発即時停止」という選択肢しかあり得なかったのではなかろうか、と思う。報道に遠い4号機だが、危険が去ったわけではない。これから何年もかかるだろう使用済み燃料の取り出し作業の間、震度6以上の地震が起きないとはいえない。台風も竜巻もある。補強工事の確実性を担保するには、作業員の質も必要とされる。専門技術者の被ばく量も限界値に達していよう。貯蔵プールへは未だ仮設の配管で水を送っているのか、水が供給ができないような事態になれば、線量が高すぎて、人は近づけない状態に陥る。そうなればチェルノブイリ事故の10倍のセシウムが空中に放出される。風が首都圏に向えば、<戦争に負けた>と同じような、否、それ以上の壊滅的な打撃を受けよう。 偶然が重なって、最悪の事態を免れたこの事実は、震災1年後の今年3月、一部新聞に報道されたが、その後、尾を引く議論になってはいない。「のど元過ぎれば熱さを忘れる」というが、今回選挙の争点にもなっていない。 情報を出さない社会が責任をとらない社会を可能にしてきた。大衆を扇動もしやすい。目の前にある日本壊滅の危険性を伝えたり、人口が2千5百万人も減る、たった30年後の社会のありようを語る政党がないのが不思議だ。大衆は、希望ではなく比較で、「今よりまし」と旧体制を復活させた。 4号機が制御不能になったとき、多くの人が国外に逃げるだろう。しかし、逃げる中には震災後も原子力を推進しようとする利権集団側の人々が多く含まれているのだろうと、へそ曲がりの私には思われてならない。 http://www.youtube.com/watch?v=_TJo0HLFR_s&feature=player_embedded http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=UNZIvgkWHzQ&list=PL7003EE69A4EAF7FE#! http://www.youtube.com/watch?v=W-VqzMo1PZQ&list=PL7003EE69A4EAF7FE&index=2 http://gyao.yahoo.co.jp/player/00908/v12193/v1000000000000000401/?list_id=1793444&sc_i=gym082 [3回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword