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碧濤のひとりごと

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ちょっと安心

老舗旅館の仲居として、有名私立女子大生二人が就業体験する番組があった。
「要領がいいのでどんなアルバイトも軽くこなしてきた」と、ノリで話していた二人は、客の出迎え、配膳、ふすまの開け閉めなどを教えられるが、客が入りだすと、仲居さんたちの時間と戦うような迫力に圧倒され、教えられた振る舞いもできず、客への無礼な対応の苦情を女将を通じて聞かされるうち、次第に意気消沈していく。
 そして、千枚を超える皿を洗う老女に、「かわいそう。もっと時間を大切にすればいいのに」、「あのお婆ちゃんは何のために、あんなきつい仕事を毎日やっているのか不思議」との疑問も解けないうちに、2泊3日の就業体験は終わった。
 女子大生に代わって老女に質問した番組スタッフが、回答を伝えた瞬間、いつもの風貌に戻っていた彼女たちの様子は一変した。
 「お孫さんに小遣いをあげるためだって言っていたよ」
言葉を失った彼女たちの目に涙がこみ上げる。今時の女子大生は宇宙人に見えていたが、彼女たちの感動が世代を超えた共通項として残っていることにちょっと安心したのであった。

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