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碧濤のひとりごと

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巡視船衝突事故報道

 尖閣諸島の中国漁船による巡視船衝突事故(事件)について政府の対応が不甲斐なく映っている。しかし連日のテレビ放映も、不測の事態への不安ばかりを煽るかのようで、本来、我が国の領土であると主張する根拠についての報道が少なすぎる気がしている。
 尖閣諸島についての我が国の基本見解は文末に示すように極めて明瞭であるが、おそらくは、その「常識」は、国民の多くが曖昧な理解のままにいるのが現実だろう。
 「常識」という「情報」の「丁寧な解説」も国内報道の使命ではないのか、と思う。衝突ビデオを後生大事にしまい込んでいる間に、外国の報道も「中国からの“圧力”に日本が屈した」とされてしまったが、中国の“傲慢”が道理を覆って、単なる“圧力”として世界に報道されたのは、我が国の報道姿勢にも原因があるのではないか。つまり、海外メディア担当者を通じ、海外視聴者は日本イメージを形作っていくのだろうから、国内報道のあり方は、外交戦略上からも重要課題ではないのか、ということである。
 「毅然とした態度で対応」と言うのであれば、正しい知識や歴史経緯を世界中の人に知らしめ、紛争相手国への牽制状態を確固たるものとしておくことが重要だろう。その前提があって、はじめて、紛争相手国からの武力行使も制御できようし、国際道徳にかなう解決への合意を見出していくことができるのではないのか。帝国日本への警戒が近隣諸国の日本観であればこそ、専守防衛を標榜する民主国日本は戦略的情報外交を意識すべきではないか。そうでなければ、中国からの謝罪、賠償請求の報道も、中国国内報道と大差ない国内ポピュリズムを助長するだけのものとなろう。
 事件直後、北京の日本大使館前のデモ隊はせいぜい100人規模だったそうだから、反日感情を煽らなければならないほど中国国内の社会的歪みも増大しているのだと見ることもできよう。そう見るだけでは楽観的過ぎようが、多くの人に中国産品購入は避けたいと思わせる事件にだけはなったのではないか。


尖閣諸島の領有権についての基本見解(外務省HPより
 尖閣諸島は、1885年以降政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行ない、単にこれが無人島であるのみならず、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上、1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行なって正式にわが国の領土に編入することとしたものです。
 同諸島は爾来歴史的に一貫してわが国の領土たる南西諸島の一部を構成しており、1895年5月発効の下関条約第2条に基づきわが国が清国より割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれていません。 従って、サン・フランシスコ平和条約においても、尖閣諸島は、同条約第2条に基づきわが国が放棄した領土のうちには含まれず、第3条に基づき南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれ、1971年6月17日署名の琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(沖縄返還協定)によりわが国に施政権が返還された地域の中に含まれています。以上の事実は、わが国の領土としての尖閣諸島の地位を何よりも明瞭に示すものです。
 なお、中国が尖閣諸島を台湾の一部と考えていなかったことは、サン・フランシスコ平和条約第3条に基づき米国の施政下に置かれた地域に同諸島が含まれている事実に対し従来何等異議を唱えなかったことからも明らかであり、中華人民共和国政府の場合も台湾当局の場合も1970年後半東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化するに及びはじめて尖閣諸島の領有権を問題とするに至ったものです。 また、従来中華人民共和国政府及び台湾当局がいわゆる歴史的、地理的ないし地質的根拠等として挙げている諸点はいずれも尖閣諸島に対する中国の領有権の主張を裏付けるに足る国際法上有効な論拠とはいえません。

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